大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和39年(オ)860号 判決

上告人(被告・控訴人) 土屋好守

右訴訟代理人弁護士 大嶺庫

石黒良雄

被上告人(原告の訴訟承継人・被控訴人) 鈴木ヨシノ 他五名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人大嶺庫、同石黒良雄の上告理由

第一、二、三点〈省略〉

同第四点について

約束手形が書替えられた場合でも、旧手形に基づく債務が消滅しないときは、手形の所持人は、新旧いずれの手形によっても手形上の権利を行使することができるものと解するのが相当である。従って、本件手形に基づく被上告人らの本訴請求を理由ありとした原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、独自の見解であって、採ることができない。

同第五点、第七点について

約束手形の書替をした者が、新旧いずれか一方の手形による手形金請求を受けた場合には、右手形振出人は、新旧両手形をともに返還すべきことを請求することができるものと解せられるから、所論二重払いの危険は生じないというべきである。

論旨は、独自の見解に立脚して原判決を非難するものであり、採ることができない。〈以下省略〉

(裁判長裁判官 横田正俊 裁判官 柏原語六 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例